無防備になって・・・
2012/11/13 00:57:48
気がつくと
雨が降りだしていた。
リビングの窓は雨粒で覆われ
街の灯もギラギラと滲んで見える。
彼は仕事で
まだ帰ってこない。
時計の針はとっくに0時を回っていた。
私は録画してあった彼の出演している番組を見ながら
彼が載っている雑誌を手にとった。
「俺のそばにいるときは無防備になってかわいい部分を見せてほしい」
私・・・あなたの前では
かなり無防備だと・・・・そう思う
私の方がずっと年上なのに
私を包み込むあなたの優しさに
全力で甘えていると・・・・そう思う
彼と付き合い始めた頃
私はかなりつっぱっていた。
だって
私は彼より年上だから
あなたのペースに巻き込まれないからね・・・って
心の中に必死で突っ張り棒立ててた。
でも
言われたの
まさにこの言葉通りに・・・
もっと無防備になって
飾らないで
さらけ出して
ルナの全部をみせて
俺だけのルナでいて・・・
彼の大きな瞳が
熱っぽく潤んで
まっすぐ前から
私のこと見つめてた。
私は
彼の瞳にすいこまれて
とろとろに溶けてしまった。
そして少しずつ
素の自分をさらけ出せるようになっていったの。
グラビアの彼を見つめる。
テレビ画面の彼を見つめる。
手を伸ばしても
サワレナイ・・・
彼の体温のぬくもりを感じることができない。
不意に私の瞳から涙がこぼれ落ちて
次から次へと頬をつたって
グラビアの彼の写真を濡らした。
急に胸が切なさでいっぱいになって
苦しくて
寂しくて
私は暫く泣き続けていた。