私は
あたり一面が真っ白な場所に立っていた



ここはどこ？？？




歩いても歩いても
ただただ真っ白な世界が広がっているだけ






時折
ふわふわと
白い雲のようなものが
行く手を遮る




かき分けながら進むと
遠くから声がした


「ルナこっちだよ・・・・」



見上げると

彼がまるで
羽衣をまとった天女のように
空中に浮いて

そして私を呼んでいる





「私は行けない・・・」



「なんで？」




「だって空を翔ぶ術がないもの」




「大丈夫だよルナ・・・背中を触ってみて」


彼の言うままに
背中に手をやると・・・・


そこには
天使のように
白くて大きな羽が・・・



「ルナ・・・そのままはばたいて・・・つま先で蹴って・・・」



その先の言葉が聞こえない
少しずつ遠くなる彼の姿を追うように
助走をつけて
つま先で蹴って空中に飛び出した


ふわりと
からだが宙に舞った

私は泳ぐように腕をかいて

彼のあとを追った



「待って・・・」


彼が振り向く

頬のえくぼがみえた



もう少し・・・
もう少しで追いつくのに・・・



思い切り手を伸ばす
彼に向かって




「どこへ行くの・・・・」




彼は大きな木のてっぺんに腰掛けて
私をみおろしている




「ルナ・・・早く・・・」




私に向かって手招きをする



そして歌うように囁いた・・・




「そばにおいでよ・・・」














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