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秋の青空に 

朝目が覚めると
そこには台風一過の青空が広がっていた。

 

寝室を覗いたがベッドに彼の姿がなかった

 

キッチンへ向かうと
ダイニングテーブルの上に
彼が作った朝食が置いてある。

 

彼を探すと
バルコニーに出て外を見ていた。



大きく空を仰ぎ
深呼吸をしているみたいだった。

私の視線に気が付いた彼が振り向いた。
手招きをしている。

私は少し重い足取りでバルコニーへ出て彼の隣に並んだ

 


「ごめん」
視線を空にむけたまま彼が言った。
 

「ごめん」
今度は私の方に顔を向けて彼が言った。
 

私の目から涙が溢れ出した。
 

彼は私を抱き寄せ力いっぱい抱きしめた。



***********

 

昨日の夜
彼のマネージャーから電話があった。
今後の仕事の打ち合わせについてだと思う。

 

その電話の後
彼は自分の部屋にこもっていた。
少しイライラした様子だった。

 

普段温和な彼はめったに感情を荒げたりしない
世間一般彼のイメージに「クール」というのがあるけど
ホントはそのイメージとは全然違って
彼は温和で温かく優しいココロの持ち主なのだ。

 


めずらしいこともあると思いながらも
とりたてて構うことなく
そっとしていた。


 

先に寝るね・・
そう声をかけ彼の部屋のドアをたたいた。

 

台風の影響で
夕方から降り出した雨は激しさを増し
49階の部屋のガラス窓に打ち付けている。

 

その窓際に佇み
窓の外を見つめる表情は

眉間にしわを寄せた
険しいものだった。



 

すると突然
彼は私に

「なぜ何も言ってくれないのか」と
 

駄々っ子のように
私をこまらせる言葉を羅列しはじめた。

 


いつもはキラキラ煌く街の灯りが
滲んで見えた

暫く
二人の間に沈黙の時間があった。


 

「ルナ・・・」
彼は私を力まかせに抱きしめ
床に押し倒した。

 

私はそれに抗おうと
精一杯腕をのばしてみたが

 

無駄な抵抗におわった。

 

「ルナ・・・」
かなり強引にくちづけようとする彼に


「や・・」
と顔をそむけると


 

私の首筋にあたっていた彼の頬が
小刻みに震えだした

 

泣いているの・・・

 

泣いてないよ・・・

 

でも・・・私には
彼が・・・嗚咽をこらえているのがわかった。



 

そして
ふいに彼は顔をあげ
そのまま部屋を出てしまった。

 

私は何もしてあげられない
自分の無力さにからだのちからが抜けてしまい
その場から動く事ができなかった。





***********

 

「苦しいよ」
 

「あ、ごめん」彼は私を抱きしめていた手をゆるめた。
 

「今日は・・・ごめん。ばっかりね」
 

「空を見てたんだ。
そしたら深呼吸したくなって。
深呼吸したら空のパワーがからだの中にたくさん入ってきてさ」

 

彼は大きく天に向けて手を拡げ
もう一度深呼吸した。

 

「ルナもやってみなよ」
 

彼に促されて同じように
天に向けて大きく手を拡げた。

 

「この広い広い大きな青空見てたらさ、
なんか・・・まぁいっかって思えて」


「オレ、まだまだちっちゃいな」
 

彼の顔からは昨夜の思い詰めたような表情は消えていた。


 

「ねぇ朝ごはん作ったの?」

「そうだよー。世界一おいしい朝ごはんだからな」
 

「ではご相伴にあずかります」
 

「そうだ、冷蔵庫からトマトジュース出してこよう」
 

そういって
キッチンへ駆け出す彼の背中を目で追いながら

アイシテル・・・とつぶやいてみた。

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HN:
luna
性別:
女性
自己紹介:
彼の日記を元にlunaが妄想で日記を書いてます。
もちろん全部フィクションです。
あなたもlunaと一緒にステキな妄想してみませんか。
できれば「luna=あなた」で妄想しながら読んで下さい。