夜行バス
*edit
2013/12/07 02:16:28
2013/12/07 02:16:28
待ち合わせの時間を5分ほど過ぎて彼は現れた
革ジャンの襟をたて
さりげなく顔を隠している
飾らないその姿は
パッと見た感じでは
彼が誰であるかなんて全くわからない
大阪でのLIVE終わりに
夜行バスで帰る私を見送りに来てくれた
平日の夜
人影もまばらな大通り
街路樹に施してある
白を基調としたイルミネーションが
とても綺麗だった
「待たせてごめん・・・」
そう言った彼の目は
ことのほか優しく
私は少し照れくさくて
「んん・・・大丈夫」
と言いながら
足元に視線を落とした。
「荷物・・・とかないの?」
「だって
日帰りみたいなものだから」
LIVEが始まる2時間前に大阪に着いた。
明日どうしても朝一で仕事がある私は
夜行バスで帰京する方法を選んだ。
彼と私は少しだけ距離を空けて
並んで歩き始めた。
少し歩いたところで
彼が私の右手を取り
ブンブンと大きく振るようにして
そのまま手を繋いだ。
「こんな風に
ルナと歩くの久しぶりじゃん」
3時間弱のステージを終えたばかりの彼の声は
少しだけ枯れていた
「ありがとう・・見送り来てくれて・・・」
繋いだ手にきゅっと
力を込めた。
「ねぇ
ルナ・・・
俺の愛
受け取った?」
ステージの上から
度々私の方へ視線を投げかける彼に
私はどうしていいのかわからず
持っていたうちわで
顔の半分を隠していた
「私の前にいた女の子達が歓喜してたの
お手振りもらったって
きゃっきゃ言ってたもん」
「若くてピチピチの女の子だったね
サンタのドレス着てたし」
「ああいうの
今度買ってさ
ルナも着てみてよ」
ンハハハ・・・
笑う彼が憎らしくて
私は彼の前に回り込んで
ほっぺをギュッと引っ張った
すると
彼はそのまま
私を抱き寄せ
一瞬・・・ギュッと抱きしめた
「今夜ルナと一緒にいたい・・・」
耳元で囁く彼の少し枯れた声は
私を打ち抜き
私はそのままその場に倒れるかと思った程・・
大通りを渡り
地下通路にさしかかったところだった。
周りには人影もなく
薄暗いその場所で
彼と私は
少しだけお互いの温もりを確かめ合った。
「明日の夜は一緒にいられるから・・・」
私は声が震えそうになるのを必死で隠して
小さな声でそう答えた。
「もう行かなくちゃ・・・
バスが・・・」
寒い日の朝
思い切ってベッドから出る時のように
私は
思い切って
彼の胸から抜け出した。
青信号が点滅を始めた
私は走って横断歩道を渡り
もう一度振り返って
「おやすみ」
と声をかけた。
「Ti amo・・・」
彼が小さく投げキスをくれた。
街頭の灯がスポットライトのように
彼を照らしている。
その姿がステージの上でキラキラ光る彼と重なって
少しだけ眩しく感じた。
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革ジャンの襟をたて
さりげなく顔を隠している
飾らないその姿は
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平日の夜
人影もまばらな大通り
街路樹に施してある
白を基調としたイルミネーションが
とても綺麗だった
「待たせてごめん・・・」
そう言った彼の目は
ことのほか優しく
私は少し照れくさくて
「んん・・・大丈夫」
と言いながら
足元に視線を落とした。
「荷物・・・とかないの?」
「だって
日帰りみたいなものだから」
LIVEが始まる2時間前に大阪に着いた。
明日どうしても朝一で仕事がある私は
夜行バスで帰京する方法を選んだ。
彼と私は少しだけ距離を空けて
並んで歩き始めた。
少し歩いたところで
彼が私の右手を取り
ブンブンと大きく振るようにして
そのまま手を繋いだ。
「こんな風に
ルナと歩くの久しぶりじゃん」
3時間弱のステージを終えたばかりの彼の声は
少しだけ枯れていた
「ありがとう・・見送り来てくれて・・・」
繋いだ手にきゅっと
力を込めた。
「ねぇ
ルナ・・・
俺の愛
受け取った?」
ステージの上から
度々私の方へ視線を投げかける彼に
私はどうしていいのかわからず
持っていたうちわで
顔の半分を隠していた
「私の前にいた女の子達が歓喜してたの
お手振りもらったって
きゃっきゃ言ってたもん」
「若くてピチピチの女の子だったね
サンタのドレス着てたし」
「ああいうの
今度買ってさ
ルナも着てみてよ」
ンハハハ・・・
笑う彼が憎らしくて
私は彼の前に回り込んで
ほっぺをギュッと引っ張った
すると
彼はそのまま
私を抱き寄せ
一瞬・・・ギュッと抱きしめた
「今夜ルナと一緒にいたい・・・」
耳元で囁く彼の少し枯れた声は
私を打ち抜き
私はそのままその場に倒れるかと思った程・・
大通りを渡り
地下通路にさしかかったところだった。
周りには人影もなく
薄暗いその場所で
彼と私は
少しだけお互いの温もりを確かめ合った。
「明日の夜は一緒にいられるから・・・」
私は声が震えそうになるのを必死で隠して
小さな声でそう答えた。
「もう行かなくちゃ・・・
バスが・・・」
寒い日の朝
思い切ってベッドから出る時のように
私は
思い切って
彼の胸から抜け出した。
青信号が点滅を始めた
私は走って横断歩道を渡り
もう一度振り返って
「おやすみ」
と声をかけた。
「Ti amo・・・」
彼が小さく投げキスをくれた。
街頭の灯がスポットライトのように
彼を照らしている。
その姿がステージの上でキラキラ光る彼と重なって
少しだけ眩しく感じた。
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