はい、これ。
熱いから気を付けて。

彼に手渡したマグカップ。

彼は
両手で包み込むようにしてマグカップを持ち
口をすぼめてふ～っと息をふきかけた。

おでこに手を当ててみる

少し熱い。

熱があるよ。
私がそう言っても

彼は無言でマグカップの中の
レモネードに息を吹きかけ続けていた。

私はそっと後ろから
彼の背中に顔を押し当て
彼をギュッと抱いた。

気合で治す。


かなりの鼻声・・・

でも彼はそう言うと
レモネードを一気に飲み始めた。

あちち・・



そんなに一気に飲まないで
ゆっくり飲んで・・・


 

彼は風邪をひいてしまったのだ。

ビタミンＣ摂るぞ。

ルナ、レモネード作って。

彼のご要望に応えるべく
フレッシュレモンを絞って
はちみつたっぷりのアツアツレモネードを作ってあげた。

今日と明日は
たまたま撮影がお休みだったからよかったけど

明後日からまた暫くお休みなしで仕事が続くんだもの。

ルナ、ここどうしたの？
赤くなってるよ。

私の左手首を握りながら・・・
鼻声で聞く。

 

さっき唐揚げ作ってて
油がはねちゃったの。

私がそう答えると

彼は

早く治れ。

そう言って私の傷口にそっと唇を押し当てた。

私は

早く治れ。

って彼の口真似をして
彼の唇にそっとキスをした。